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【飛ぶ夢をしばらく見ない / 山田太一】

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山田太一の小説とは、お気に入りの作家の本を読み終えてしまい、さてこれからどうするもんかと思っている様な時に出会う。郵便局や銀行の持っていっていいですよという棚にあったりするのだ。「ふぞろいの林檎たち」等のテレビドラマにも見られるように山田太一作品の面白さは会話のやりとりだ。どこにでもあるような日常生活の中で、相手を窺い、甘え、挑発するような事を言い合う。その会話のリズム感の良さを特に小説に感じていたのだが、本作を読んで一つの小説が一つの大きな「詩」の様なんだと気づいた。この作品中にはいくつかの詩が登場する。その中でも印象に残った富岡多恵子の詩を紹介したい。TAZ

わたし
あなた
「わたしたち」

「わたしたち」は
わたしとあなたに還元出来ない
だから
わたし
あなた
「わたしたち」

わたし
あなた
お互いに口から手をつっこむ
咽喉にさわる
気管にさわる
胃にさわる
肺臓にさわる
心臓にさわる
横隔膜に
肝臓 膵臓 肋骨 腸
筋肉 動脈 静脈 毛細血管
様々なものにさわる
抽象名詞の様々なものにさわる
どうしてもさわれないもの
それは あなた
それは わたし

□著者:山田太一
□出版:新潮社
□ISBN:4-10-101813-8

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